とらわれの症状:不潔恐怖
(強迫神経症)


(不潔恐怖の症状について)

不潔恐怖は何度手を洗っても気が済まないといった形で現れてくる、とらわれの一つの症状だと言えます。

また、これは自分の手や体が、少しでも汚れていてはならないという、「かくあるべし」の考えにとらわれている状態ですから、一種の強迫観念だと考えることも出来ると思います。

こういう意味で、この症状は強迫神経症に含まれる症状だと言って良いと思います。

最近は強迫神経症を強迫性障害と呼び、脳内の異常物質が原因であると考え、薬によって治療する方向になっているように思います。

しかし、不潔恐怖で精神科や心療内科の薬を何年も飲んでいるのに、症状が良くならないという人も多いように思います。

しかし、これは森田療法の立場から見れば、むしろ当然の結果だと言えるのです。

つまり、不潔恐怖は元もと、清潔感に対する「とらわれ」が原因だからなのです。

「とらわれ」というのは、心理的なメカニズムの一つであり、脳や神経の異常とは別問題だと言えるのです。

ですから、いくら脳や神経の検査をしても、異常が見つからなくて当然なのです。

しかし、今は米国の影響を受け、脳内の異常物質が原因であるという学説が大手を振るっているために、これを薬の力でコントロールしようとしているのだと思います。

しかし、こういう薬を飲まなくても、目的本位など森田療法の考え方に沿って行動の仕方を変えるようにしていけば、少しずつ「とらわれ」は解消してくるものなのです。

そして、この結果、不潔恐怖の症状も治ってくるものなのです。

ですから、もし、今、不潔恐怖の症状のために薬を飲んでいる人がいれば、薬だけに頼るのではなく、森田療法についても検討してみると良いと思います。



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